商品名 :メインテート錠(田辺三菱)ほか
適応 :虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全(メインテートのみ)、狭心症、心室性期外収縮(不整脈)、本態性高血圧症
薬効分類:抗不整脈薬、アドレナリンβ受容体遮断薬、降圧薬
警告 新設(メインテートのみ)
「慢性心不全患者に使用する場合には、慢性心不全治療の経験が十分にある医師のもとで使用すること。」
「慢性心不全患者に使用する場合には、投与初期及び増量時に症状が悪化することに注意し、慎重に用量調節を行うこと。〔「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「その他の注意」の項参照〕」
禁忌 追記
「強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者〔心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。〕」
「非代償性の心不全患者〔心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。〕」
「重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)〔末梢血管の拡張を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。〕」
「未治療の褐色細胞腫の患者〔「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照〕」
用法要領に関する使用上の注意 追記
「慢性心不全を合併する本態性高血圧症、狭心症の患者又は心室性期外収縮のある患者では、慢性心不全の用法・用量に従うこと。」
〈慢性心不全の場合〉
「慢性心不全患者に投与する場合には、必ず1日1回0.625mg又は更に低用量から開始し、忍容性を基に患者毎に維持量を設定すること。〔「その他の注意」の項参照〕」
「本剤の投与初期及び増量時は、心不全の悪化、浮腫、体重増加、めまい、低血圧、徐脈、血糖値の変動及び腎機能の悪化が起こりやすいので、観察を十分に行い、忍容性を確認すること。」
「本剤の投与初期又は増量時における心不全や体液貯留の悪化(浮腫、体重増加等)を防ぐため、本剤の投与前に体液貯留の治療を十分に行うこと。心不全や体液貯留の悪化(浮腫、体重増加等)がみられ、利尿薬増量で改善がみられない場合には本剤を減量又は中止すること。低血圧、めまいなどの症状がみられ、アンギオテンシン変換酵素阻害薬や利尿薬の減量により改善しない場合には本剤を減量すること。高度な徐脈を来たした場合には、本剤を減量すること。また、これら症状が安定化するまで本剤を増量しないこと。」
「本剤の投与を急に中止した場合、心不全が一過性に悪化するおそれがあるので、本剤を中止する場合には、急に投与を中止せず、原則として徐々に減量し中止すること。」
「2週間以上休薬した後、投与を再開する場合には、「用法・用量」の項に従って、低用量から開始し、段階的に増量すること。」
〈慢性心不全の場合〉
「慢性心不全患者に投与する場合には、本剤の投与初期及び増量時は、入院下で投与することが望ましい。」
「重症慢性心不全患者に対する本剤の投与では特に慎重な管理を要するので、投与初期及び増量時は入院下で投与すること。」
過量投与 一部改訂
「症状:
過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧、気管支痙れん等があらわれることがある。しかし、このような症状は副作用としても報告されている。」
「処置:
過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、必要に応じて胃洗浄等により薬剤の除去を行うとともに、下記等の適切な処置を行うこと。
1) 徐脈、完全房室ブロック:アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン塩酸塩等の投与や心臓ペーシングを適用すること。
2)心不全の急性増悪:利尿薬、強心薬、血管拡張薬を静脈内投与すること。
3)低血圧:強心薬、昇圧薬、輸液等の投与や補助循環を適用すること。
4) 気管支痙れん:イソプレナリン塩酸塩、β2受容体刺激薬又はアミノフィリン水和物等の気管支拡張薬を投与すること。」
その他の注意
日本人慢性心不全患者を対象に、承認用法・用量とは異なる用量調節方法(1日1回0.625、1.25、2.5又は5mgの段階で用量を増減)で実施されたプラセボ対照二重盲検比較試験では、主要評価項目である「心血管系の原因による死亡又は心不全悪化による入院」において本剤のプラセボに対する優越性は示されなかった〔イベント発現例数:本剤群13/100例、プラセボ群14/100例、ハザード比(95%信頼区間):0.93(0.44-1.97)〕。このうち「心不全悪化による入院」は本剤群12例、プラセボ群9例、「心血管系の原因による死亡」は本剤群1例、プラセボ群5例であった。